2026/03/23 12:14
何度も使い切ったマグリブバフールも最後の1本を使い終え、時間の経過とともに気づけばパッケージデザインも変わり、私は東京から引っ越したり、二拠点を始めたりした。
どこか旅先の異国を思わせながらも温かく、安心感のある思い出の香りだ。
ちょうど、コロナの時に始まった二拠点生活にこんな記憶がある。
緊急事態宣言の出てまもない時、今では考えられないくらいまばらの新幹線の車内のなか、乗車した人たちはほとんどがスーツ姿のビジネスマンたちで、そこにいた全員が危険をかえりみず戦いに行くムードが印象的であり、自分なりにも使命を持って挑んだことだった。
毎回到着したばかりの東京駅は無人。
なにか自分だけが違う動き方をして、なにかしらの罪悪感みたいのもあった気がする。
どれが正解で、確かで、確実なのか、それぞれの旗に託されていたのかもしれない。
不安が飛び交う電車を乗り換え、無事目的地に着いて人と逢えた時の安堵と笑顔は小さな海外旅行のようでした。
思い出と香りはいつも隣り合わせだった気がする。
古着屋を志し、上京した20歳の時。
美容師に戻って愛知でお店を出した時。
新しいプロジェクトでまた駒沢暮らしを始めたとき。
故郷に自分のお店を持ったとき。
自身のルーツの延長線上にいくつかの旗(ファンクションするべき点)をおいて、そこにとどまるも、探すも、往来するも旅先のように選択肢はある。
それから何年も経って、あいもかわらず、いや懲りずに今も二拠点で髪を切ることは続いている。
髪を切るということの普遍性や時代性のおかげか、どこでも切れるようになったけど生まれ育った場所で景色と香りをつくることを楽しみたい春の手前です。

